建築家の考えた狭小住宅

投稿日時:2017-09-08 10:38:02

核家族が当たり前となり、また費用面や土地の面積などの問題から、狭い土地に工夫した家を建てるケースが増えています。一般的にこういったタイプの家は「狭小住宅」と呼ばれ、3階建てにしたり、階段などの配置を工夫して建てる必要があるため、建築家にとっては腕の見せ所ともいえる住宅になるでしょう。

有名建築家が建てたものの中でも、特に有名な狭小住宅が3つあります。1つは増沢洵の「最低限住宅」で、戦後に建てられた建築面積9坪に必要最低限のものを配置した実験的住宅で、現代の狭小住宅の元祖ともいえる存在です。

また、狭小住宅で最も有名と言えるのが東孝光の「塔の家」です。こちらの住宅は建築面積はわずか6坪。コンクリートの素材感そのままの吹き抜けの中に住むような構造の家で、5階建ての建物となっています。しかも、今でも東孝光氏の娘さん(建築家・東利恵)が住んでいる現役の住宅です。

3つ目は安藤忠雄の「住吉の長屋」で、今のコンクリート打ちっぱなしのデザインの先駆けであり、限られた敷地大胆に切り取り中庭を設けることで。狭小住宅では諦めがちな採光性を確保しています。

コンパクトな住まいが求められる中、昭和の中期~後期に建てられたこの3件の先進的な狭小住宅は、再びそのデザイン性を再評価されていると言えます。実際に、増沢洵の最低限住宅は、「9坪住宅」として現代風にアレンジされたデザインの家が建設されています。